Silent In A Grave

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意識が戻ると土の匂いがした。
混乱する思考を落ち着かせようと、
ゆっくりと5つ数字を数えてみたけれど、
まだ夢の中にいるのかどうかさえ判断がつかなかった。

そっと目を開くと焦げ付いたような色の空が見えた。
落ち葉が次々と舞い落ちてきていた。
私は体を動かそうとしたが、指先すら動かすことができなかった。
体の全ての感覚が失われていることを知り、
私にはもう体が無いのかもしれない、と思った。
この思考だけが、『私』の存在を証明する唯一のものだった。

どうやら私は穴の中にいるようだった。
そしてようやく、自分が死体となったのだと、
物体となったのだと、悟った。
私が空だと思ったものは、
穴を覆っている古いビニールシートだった。

その『空』に降り積もっていく落ち葉をぼんやりと眺めながら、
私は生きている間に一度も感じたことのない穏やかな恍惚とした気持ちになった。
死ぬということは、こんなにも美しい静寂に包まれることだったのだ。