友へ



忘れたわけではないのです
逢いに行けないのは
むしろ
一時もあなたを忘れられないからなのです


あなたが死んでいくことが
受け入れられないのではないのです
あなたが今
生と死の間でもう何年も彷徨っていることが
ただただ苦しいのです

告白します

カーテンが引かれた薄暗い病室で
美しい木漏れ陽を見ることもなく
管に繋がれたままのあなたの姿を見ると
ある衝動に駆られます

あなたの命を唯一繋いでいるその管を
私の右手で
引き抜きたくなるのです
そっと

私はそれをしないために
あなたに逢いに行くことができなくなったし
あなたを殺さないために
私自身を殺したくなるのです

あなたと一緒に
生と死の間を
私もずっと彷徨っているのです

あなたを
忘れたことなど
一瞬たりともないのです